当店で扱っておりますアゲートは、すべて天然の発色で、人工的な染アゲートではございません。

ヤフオクやパワーストーンショップなどで見かける、鮮やかに色付いた産地不明のビーズ(ブルーアゲート、グリーンアゲート、カーネリアン等)、スライス、作台された飾り石などの加工品は、100%に近いぐらい染アゲートが多いです。

これらの多くにはブラジルで大量に産する、無色透明でインクルージョンが少ないアゲートが使用されます。
染アゲートは薬品を使って短期間で染めますので、自然の中で長い時間かかって色付いたアゲートと比べると均一で不自然な染まり方をしますので、鑑定は容易です。

赤系(オレンジ、黄色、ピンクなど)は硝酸鉄(II)を染み込ませて加熱。温度によって淡い黄色~濃い赤と色の変化に差が出ます。
不自然に色が濃く鮮やかなカーネリアンは、このような色揚げがされています。

緑はクロム酸カリウムと炭酸アンモニウムを染み込ませて加熱。
エメラルドカラーのクロム発色の瑪瑙は、ジンバブエのムトロライトを除いて自然界には存在しませんので、鑑定が容易です。
判別が難しい、クリソプレーズに似たニッケルによる染アゲートも存在するとか…

青はフェロシアン化カリウムと硫酸第一鉄を染み込ませますが、これで作られる鮮やかな色合いの青も、自然のアゲートには存在しない色合いです。
一般的に流通しているブルー系のアゲートビーズは、ナミビア産ブルーレースアゲートとトルコ産のブルーカルセドニー以外はほぼ全て染です。

黒は砂糖に三週間浸したのち三週間産に浸す、シュガートリートにより作られます。ホンジュラスのブラックオパールなどもこの手法で作られます。
タキシードアゲートと呼ばれるボツワナアゲートに似た白黒のアゲートは、モロッコ産の無色のアゲートにこのような処理がされています。

染アゲートの参考ページ(写真あり、英語) https://showmerockhounds.com/2016/02/25/dyed-agates/

 

以下は、海外のショッピングサイトで販売されている、タキシードアゲートの例です。

 

 

また近年では、特に以下のような天然ゴビアゲートと表記されている、染色およびカービングされているアゲートをよく見かけます。

これらは、マダカスカルやその他のアフリカや南米などのアゲートを内モンゴルの工場で加工しており、ゴビ砂漠産ですらないと言われています。
切削跡が見られないものは、インド産のポンデリングフローライトのように、何らかのサンドブラストが用いられていると推測しております。

国内や海外の老舗ショップでも、多くこれらのアゲートを販売しているのを見かけますので、注意してください。
以下はmidatで過去に少し議論された記事です(英語)。
Fakes & Frauds : これらのGobi Desert Eye Amethystsはどのくらい偽物ですか?
Fakes & Frauds : ゴビ砂漠の瑪瑙?
一般 : 「ゴビ」瑪瑙の産地

以下は、海外のショッピングサイトで販売されている偽ゴビアゲートの例です。

 

 

 

以下は、海外のショッピングサイトで販売されている染色されているマダガスカル産フラワーアゲートの例です(緑の他に赤く染められているものも存在します)。

 

 

また2024年のツーソンショーでは、十中八九染色と思われるマダガスカル産のブルーアゲートが、非常に高い値段で販売されておりました。

産地の詳細が不明だったり国名のみの表記だったり、彩度の高い赤や青、緑などのアゲートは避けた方が賢明です。